整形外科
整形外科について
当院では、毎日整形外科の診療を行っております。(完全予約制)
※病院の診療時間に準じます。
※伏見寿彦院長の金曜日の診療は、午前のみとなります(午後は手術時間)
詳細はこちらのページでご確認ください
診療の流れ
受付→問診→整形外科的検査→レントゲン検査(必要に応じて血液検査・超音波検査・CT検査)→診断→治療
受付・問診:
動物の種類、年齢、体重、性別、飼育環境、既往歴、現病歴などを問診票に記載していただきます。
整形外科的検査:
歩き方を見た後、触診して痛みの程度やその部位を特定します。また、整形外科疾患と混同しやすい神経疾患や自己免疫疾患との鑑別を行います。
レントゲン検査:
主に骨の評価を行います。
※来院した動物は、痛みや不安がある状態です。その状態の動物を横向きや仰向けに保定して行うのがレントゲン検査です。そのため、飼い主さんがご同意していただけた場合、鎮静剤を注射して動物がストレスをなるべく感じないようにレントゲン検査を実施することがあります。
超音波検査:
靭帯や腱などの評価を行います。
診断:
確定診断を出せることもあれば、特殊検査の追加や診断的治療、経過観察などを指示する場合があります。
治療:
飼い主様と相談して外科手術もしくは内科的管理にて治療を行います。
痛みのケア
私たち人間は、「痛み」を好むことはありません。
動物達は痛みに対して強いように思えますが、きっと「痛み」は好きではないと思います。
それどころか手術による痛みが続くとご飯が食べられない、動きたがらない、傷の治りが悪いなど、たくさんのデメリットを生じますし、私たち治療スタッフとしても手術後の動物が痛がっている姿を見ると胸が痛みます。
当院では「痛みのケア」を積極的に行い、手術・治療を施しています。
●周術期の疼痛管理について
当院では、麻酔前処置から術後管理までの痛みのケアを手術による痛みの程度を意識して以下の通りに行います。

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主に以下の鎮痛剤を使用しています。
・麻薬性オピオイド:モルヒネ・フェンタニル
・NMDA受容体拮抗薬:ケタミン
・非麻薬性オピオイド:ブトルファノール・ブプレノルフィン・トラマドール
・非ステロイド系抗炎症薬:メロキシカム・フィロコキシブ・ロベナコキシブ
・α2受容体作動薬:メデトミジン
・局所麻酔薬:リドカイン・ブピバカイン
以上の薬剤を術前・術中・術後の周術期に様々な経路(経口、皮下、筋肉内、静脈内、硬膜外、局所)を使用して
個々に必要な「痛みのケア」を行っています。

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周術期に様々な薬剤を加えることで、手術時の痛みを「痛み」として感知させる前になるべく最小限のものにするように努めています。
なお、鎮痛薬以外に抗コリン薬やトランキライザーなどの麻酔前投与薬やプロポフォールやアルファキサロンといった麻酔導入薬なども組み合わせて安全な麻酔・手術を行っています。
変形性関節症や多発性関節炎といった手術適応ではない整形外科関連のペインコントロールや末期癌による痛み(癌性疼痛)に関しても積極的に治療しています。 詳しくは一度、当院までご連絡ください。
骨折治療について
動物も人間と同じように骨折や脱臼をします。
原因として交通事故などの大きな外力によるものもありますが、日本では小型犬が主体となっているため、ソファや抱っこしている所からの落下といった比較的小さな外力でも生じることが多くなっています。
骨折や脱臼の治療は、ギプスなどの処置のみで済むケースもありますが、ほとんどのケースは完全骨折や脱臼を生じますので、手術が必要となります。
当院における骨折治療は、動物のステータス、骨折の発生部位や分類などを考慮して「髄内ピン」「骨プレート」「創外固定器」を単独もしくは組み合わせて使用することで適当な固定力を得られるように施術しています。
●髄内ピン
0.8mm-5.0mmのステンレス製のピンを骨髄内に刺入して固定を行います。
![]() 髄内ピン | ![]() 髄内ピン |
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![]() 髄内ピン | ![]() 髄内ピン |
![]() 大腿骨遠位骨端板骨折(サルターハリスⅠ型) | ![]() 大腿骨遠位骨端板骨折(サルターハリスⅠ型) |
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![]() 大腿骨遠位骨端板骨折(サルターハリスⅠ型) |
●骨プレート
ステンレス製もしくはチタン製の金属の板(プレート)と骨ネジ(スクリュー)を使用して固定を行います。
![]() 骨プレート | ![]() 骨プレート |
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![]() 骨プレート | ![]() 骨プレート |
![]() 骨プレート | ![]() 骨プレート |
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![]() 骨プレート | ![]() 骨プレート |
●創外固定器
ネジ山があるピンを骨に刺入し、皮膚の外で連結バーとクランプを使用して固定を行います。
![]() 創外固定 | ![]() 創外固定 |
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![]() 創外固定 | ![]() 創外固定 |
●髄内ピンと骨プレートの併用(プレート-ロッド併用法)
![]() 髄内ピン+骨プレート | ![]() 髄内ピン+骨プレート |
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![]() 髄内ピン+骨プレート | ![]() 髄内ピン+骨プレート |
●髄内ピンと創外固定器の併用法(リニア型創外固定TypeⅠa "tie in")
![]() 髄内ピン+創外固定 | ![]() 髄内ピン+創外固定 |
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![]() 髄内ピン+創外固定 | ![]() 髄内ピン+創外固定 |
脱臼治療について
●手根関節脱臼
手根関節脱臼は、交通事故や高所からの落下により発生しますが、前腕手根関節(10-30%)、手根中央関節(22-50%)、手根中手関節(40-47%)に認められます。
手根の過剰伸展により 掌側の靱帯や線維軟骨の重篤な損傷を負った動物の治療に対しては、手根関節固定術が適応になります。
![]() 手根関節固定術 | ![]() 手根関節固定術 |
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![]() 手根関節固定術 | ![]() 手根関節固定術 |
●足根関節脱臼
下腿果部の骨折や側副靭帯の完全断裂や離断によって亜脱臼や脱臼を起こします。治療は、①人工糸やスクリュー、骨孔を利用して靭帯再建術②創外固定や骨プレートを用いた関節固定術を症例に応じて実施しています。
![]() 脛距関節亜脱臼 | ![]() 脛距関節亜脱臼 |
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![]() 脛距関節亜脱臼 |
![]() 足根関節脱臼 | ![]() 足根関節脱臼 |
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![]() 足根関節脱臼 | ![]() 足根関節脱臼 |
骨折・脱臼治療における最小侵襲手術(MIS)について
骨折治療における最小侵襲手術(minimally invasive surgery MIS)
MISは、人医療では20年以上前から提唱されているコンセプトですが、軟部組織(皮膚や筋肉など)の侵襲を最小限にし、骨折部に対してもよけいな侵襲を加えないことで骨折治癒を促進させる方法です。近年、獣医療領域でも実施されるようになってきました。
当院では、症例に応じて創外固定法によるMISや最小侵襲骨接合術(minimum invasive plate osteosynthesis MIPO)を実施しています。
※単純骨折に対するプレート固定はopen reduction internal fixationを行っています。
●足根中足関節骨折亜脱臼
![]() 足根中足関節骨折亜脱臼 | ![]() 足根中足関節骨折亜脱臼 |
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![]() 足根中足関節骨折亜脱臼 |
●橈尺骨粉砕骨折
![]() 橈尺骨粉砕骨折 | ![]() 橈尺骨粉砕骨折 |
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![]() 橈尺骨粉砕骨折 | ![]() 橈尺骨粉砕骨折 |
![]() 橈尺骨粉砕骨折 | ![]() 橈尺骨粉砕骨折 |
![]() 橈尺骨粉砕骨折 |
肩関節治療について
●肩関節不安定症・脱臼について
犬の肩関節不安定症とは、肩関節の靱帯や腱、関節包といった軟部組織が緩んだり損傷したりすることで、関節の安定性が低下する状態を指します。この状態が進行すると、脱臼や亜脱臼(完全には外れないがずれる状態)を繰り返すようになります。
特にトイ・プードルなどの小型犬で多くみられ、遺伝的な要因や加齢、外傷などが関与していると考えられています。また、成長期からのわずかな不安定性が、成犬になってから症状として現れることもあります。
症状:前肢の跛行(びっこ)、遊びを嫌がる、前足をかばうような動き、抱き上げたときに嫌がるなどが見られます。
診断:触診や整形学的検査(例:肩関節の外転試験)を中心に行います。
治療:当肩関節不安定症に対して以下のような段階的な治療を行っています。
軽症例(脱臼が起きていない場合)
→ 関節にかかる負荷を減らすための装具の使用や、肩周囲の筋肉を強化するリハビリテーションを行い、機能の回復と進行予防を目指します。
反復性脱臼がある場合
→ 脱臼を防ぐ目的で、関節に脱臼防止スクリューを設置し、肩の安定性を高める外科手術を行います。
重度の不安定症や痛みが強い症例
→ 保存療法や関節制動術では改善が見込めない場合は、肩関節固定術を選択します。これは肩の動きを止める手術ですが、慢性的な痛みから解放し、日常生活を快適に送れるようにすることを目的としています。
![]() 肩関節固定術 | ![]() 肩関節固定術 |
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肘関節治療について
●肘異形成(elbow dysplasia ED)
肘異形成は、肘突起癒合不全(ununited anconeal process UAP)、内側鈎状突起疾患(medial coronoid process disease MCPD)骨軟骨症(osteochondrosis OCD)、関節軟骨の異常、肘関節不適合などの肘に成長異常をきたす疾患の総称です。
原因:EDの原因と発症に関しては不明な点が多く、MCPDやOCD、肘関節の不適合は、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ジャーマン・シェパード、バーニーズ・マウンテンドッグなどの大型犬や超大型犬の若齢雄(雄:雌=2:1)に多くみられます。
症状:前肢の跛行は4-12ヶ月齢に始まり、数ヶ月間続きます。その程度は徐々に進行することが多く、また運動後に悪化することがよくあります。
診断:徹底した整形外科的検査、レントゲン検査、関節鏡検査、CT、MRIにより行います。
治療:若齢期になるべく早期の外科療法が最も優れた予後を得られていますが、進行した変形性変化をみる肘関節には内科的管理や尺骨骨切り術などによる内側鈎状突起への負担軽減の外科手術を実施しています。
最近では、犬だけでなく猫においてもEDを認める症例に遭遇する機会が増えました。
![]() ジャーマンシェパードの肘関節 | ![]() 雑種猫の肘関節 |
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●MCPD
CTと関節鏡検査を行い、病変部の評価と治療を実施します。
関節鏡を用いて罹患した軟骨や骨片を除去、もしくは内側鈎状突起をサブトータルに切除します。
その後、bi-oblique 動的尺骨骨切り術(DPUO)を行い、肘関節内の荷重バランスを改善します。
![]() MCPDに対するBi-oblique DPUO | ![]() MCPDに対するBi-oblique DPUO |
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●UAP
肘突起が肘頭への癒合がおこらない稀な疾患であり、成長期の大型犬や異栄養性軟骨種に発生します。
肘の痛みや跛行の原因となります。関節鏡検査およびCT検査により癒合不全の程度や関節内の変化を詳しく評価します。
状態に応じてスクリュー固定や摘出術を選択し、痛みの軽減と機能回復を目指します。
![]() UPA | ![]() UPA |
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![]() UPA |
●MCD
肘関節の内側コンパートメント疾患(MCD)に対してPAUL(proximal abducting ulnar osteotomy)法を選択しています。
この手術は、尺骨を特殊な角度で骨切り・固定することで、肘関節内の荷重バランスを改善します。
特に内側関節面への過剰な圧力を軽減し、病変の進行を抑えつつ痛みの緩和を目指します。
内科治療だけでは改善が乏しい若齢の大型犬に有効とされる先進的な術式です。
![]() MCDに対するPAUL | ![]() MCDに対するPAUL |
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![]() MCDに対するPAUL | ![]() MCDに対するPAUL |
股関節治療について
●股関節脱臼
股関節脱臼は、通常外傷や重度のHDによって起こりますが、その大半は頭背側方向への脱臼します(約75%)。整形外科的検査およびレントゲン検査にて診断します。
治療は、初発であれば鎮静下にて非観血的整復およびエーマースリング(8の字包帯)にて2週間管理しますが、再脱臼率は50%以上であることから、外科手術を実施するケースは少なくありません。
外科手術は、トグルピン法、軽関節ピンニングを使用した固定などを行いますが、重度HDの場合には、FHOを実施することもあります。
![]() トグルピン法 | ![]() トグルピン法 |
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●股関節形成不全
股関節形成不全に対する新たな治療法「3DHIP」とは?
股関節形成不全(Hip dysplasia; HD)は、
発育性の関節の形成異常によって股関節に不安定(緩み)を起こし、
その結果として変形性関節症(Osteoarthritis; OA)へと移行していく関節疾患です。

成長期に認められる臨床徴候は、
股関節の緩みに起因する。

変形性関節症が進行すると、
寛骨臼周辺に骨棘が形成され、
大腿骨頭に骨増生が生じて大腿骨頭が太くなる。
股関節形成不全の病態の進行



股関節形成不全の症例では、生まれたときには正常の股関節であるが、発育中に股関節の緩みによる不安定を呈し、
やがて変形性関節症へと移行していくことが特徴。
3DHIPとは
ユトレヒト大学のBjörn P. Meijらが開発し、2019年より臨床応用した新しい手術法です。近年になって3Dプリンターによる金属造形技術が進んだことにより、罹患している動物の股関節にフィットするインプラントを作成することができるようになりました。3DHIPは、骨切りはすることはなく、股関節に「被せ物」をするようにインプラントを配置し、4本のスクリューで固定をします。


左図:股関節が緩いと歩行相で股関節が亜脱臼します
右図:3DHIP手術後はインプラントにより股関節の亜脱臼を防ぎます。
膝関節治療について
●膝蓋骨脱臼(内方・外方)
膝蓋骨脱臼は、読んで字のごとく膝のお皿が定位置にある太ももの骨の溝(大腿骨滑車溝)から内側(内方)もしくは外側(外方)に外れる(脱臼する)疾患です。
原因:先天性と外傷性に分類されますが、先天性は根本的な原因は未解明となっていますが、①大腿四頭筋群の発達障害②大腿骨頭・骨頸部の角度異常③膝蓋骨高位(patella alta)などが発生要因として示唆されています。
重症度分類:膝蓋骨脱臼は、脱臼の程度により4段階にグレード分けされています。
グレードⅠ:膝蓋骨は徒手により脱臼するが、自然に滑車溝に戻る
グレードⅡ:膝蓋骨は膝関節の屈伸により容易に脱臼するが自然に滑車溝に戻り、通常は正常位にある
グレードⅢ:膝蓋骨は膝関節の屈伸により脱臼し、ほぼ常に脱臼したままであるが徒手整復が可能である
グレードⅣ:膝蓋骨は脱臼した状態にあり徒手整復できない。
治療:当院では、グレードⅡで症状が認められる、もしくはグレードⅢ以上の場合に外科手術を実施しています。手術は、脱臼のグレード、骨格の変形の有無、動物の年齢によっていくつかの術式を組み合わせて行います。
CTと3Dプリンターの活用:当院では、膝蓋骨内方脱臼(MPL)に対してCTと3Dプリンターを活用した精密な手術を行っています。
まずCTデータから患肢の骨格を立体的に解析し、3Dプリンターで実寸モデルを作成します。
そのモデルをもとに実際の手術前にリハーサルを行うことで、安全性と精度を高めています。
さらに手術中にはガイドを用いることで、骨切りの正確性を確保します。
これにより、特に重度変形例や再発例において高い治療効果が期待できます。
![]() 膝蓋骨内方脱臼 | ![]() 膝蓋骨内方脱臼 |
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![]() 膝蓋骨外方脱臼 | ![]() 膝蓋骨外方脱臼 |
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![]() 膝蓋骨外方脱臼 | ![]() 膝蓋骨外方脱臼 |
●前十字靭帯断裂
前十字靭帯は膝関節の中にある靭帯で、現在では少なくとも75%の症例で膝関節の変形性変化が靭帯断裂の原因であると考えられています。この変形性変化と関連しているのは①加齢②肥満③遺伝④性別⑤膝蓋骨内方脱臼と考えられています。
好発犬種:小型犬ではヨークシャーテリア、トイプードル、中型犬では柴犬、アメリカンコッカースパニエル、大型犬ではゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー、バーニーズマウンテンドッグなどに多いとされています。
症状:靭帯が切れた直後は関節炎により挙上や跛行が認められますが、膝関節は不安定ながらも徐々に足を着いて歩けるようになります。しかし、症例の1/2で軟骨離断によって疼痛と跛行が悪化することもあります。
診断:病歴と整形外科的検査に基づいて行います。レントゲン検査や超音波検査、関節鏡検査により確定診断を行います。整形外科的検査では、関節の腫脹、前方引き出し兆候や脛骨圧迫試験が陽性か、屈曲時のクリック音がないかを確認します。
治療:
7kg以下:受傷した犬の20-25%では、内科的治療(ケージレスト、運動制限、体重管理、NSAIDsの投与)を4-6週間継続することで正常な歩行へ回復しますが、改善がみられない場合には外科療法を実施します。
7kg以上:外科手術による膝関節の安定化が推奨されます。
術式:
①脛骨高平部水平化骨切り術(tibial plateau levelling osteotomy TPLO)
脛骨高平部の傾斜を変化させることにより、脛骨が前方に変位する力を中和して動的安定化を行う術式です。長期予後も良く、早期の負重が期待できます。当院では5kg以上で活動性が高い犬では、TPLOを推奨しています。
②脛骨粗面前進化術 (tibial tuberosity advancement TTA)
脛骨粗面を前進させることで、脛骨が前方に変異する力を中和します。膝蓋骨脱臼が併発している小型〜中型犬にはより効果的な術式です。
③CORAに基づいた脛骨高平部水平化骨切り術 (CORA based leveling osteotomy CBLO)
回転中心(CORA)に基づいて骨切りすることでTPLOの際に問題視される解剖軸のズレによる軟骨損傷を防止する術式です。
④CORAに基づいた脛骨頭側楔状骨切り術 (CORA based cranial closing wedge osteotomy CCWO)
脛骨前方の一部を骨切りして、膝関節の動的安定性を得る術式です。
TPAが高い症例に選択することが多くあります。
![]() ①TPLO(超小型犬) | ![]() ①TPLO(超小型犬) |
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![]() ①TPLO(大型犬) | ![]() ①TPLO(大型犬) |
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![]() ②TTA(超小型犬) | ![]() ②TTA(超小型犬) |
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![]() ②TTA(超大型犬) | ![]() ②TTA(超大型犬) |
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![]() ③CBLO | ![]() ③CBLO |
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![]() ④CCWO | ![]() ④CCWO |
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犬の骨肉腫に対する患肢温存術
~当院では液体窒素による自家骨移植を用いた最新の温存治療を行っています~
骨肉腫は犬の四肢に発生する代表的な悪性骨腫瘍で、一般的には断脚(足の切除)が主な治療法として選択されます。しかし、特に大型犬では断脚によって生活の質(QOL)が大きく低下することがあり、当院では**QOLを重視した「患肢温存術」**を行っています。
当院で対応している患肢温存術の適応部位は橈骨遠位および上腕骨近位に限られます。これらの部位に発生した骨肉腫に対しては、腫瘍に侵された骨を一旦切除、または血流を保ったまま有茎状に温存したうえで、液体窒素により凍結処理を施し、病変を無毒化した後に元の部位に戻して再建を行います。
液体窒素処理による自家骨移植は、腫瘍細胞を死滅させつつ、もとの骨の形状や強度をある程度保つことができるのが特長です。人工物を使用しないため、異物反応や拒絶反応のリスクも抑えられます。
術後は一時的に感染や跛行などの合併症が見られることもありますが、多くの症例で日常生活に支障のない歩行が可能となり、飼い主様と共に過ごす時間を快適に維持することができています。
患肢温存術はすべての犬に適応できるわけではありません。腫瘍の部位や広がり、全身状態、転移の有無などを総合的に評価し、適応可能かを判断いたします。手術適応があるかどうかを含め、まずはご相談ください。
![]() 上腕骨近位の骨肉腫に対する患肢温存術 | ![]() 上腕骨近位の骨肉腫に対する患肢温存術 |
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![]() 上腕骨近位の骨肉腫に対する患肢温存術 | ![]() 上腕骨近位の骨肉腫に対する患肢温存術 |
![]() 上腕骨近位の骨肉腫に対する患肢温存術 |
![]() 橈骨遠位の骨肉腫に対する患肢温存術 | ![]() 橈骨遠位の骨肉腫に対する患肢温存術 |
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![]() 橈骨遠位の骨肉腫に対する患肢温存術 | ![]() 橈骨遠位の骨肉腫に対する患肢温存術 |