負担の少ない避妊・去勢手術〜腹腔鏡手術とは?〜
腹腔鏡手術はどんな手術?
犬・猫の避妊・去勢手術の手段として近年注目されている、手術方法の1つです。
腹腔鏡手術は動物への痛みや体への負担が少なく、早期に退院できることが最大の利点と言われています。
◯メリット
・小さな傷で手術が可能(約5mmの傷が2つか3つで可能)
・手術の内容によっては日帰り手術を実現できる
・傷が小さいため、痛みが少ない
・お腹を開かないことにより、臓器が乾燥しない
・カメラによる鮮明な画像が得られ、細かい臓器の異常や血管を目視することができる
◯デメリット
・手術の内容によっては開腹と比べ、手術時間が延長する
・主に器械を用いて手術するため、術者の五感による感触が乏しくなる
・視野を確保するために行う炭酸ガス気腹処置により血液循環が影響を受ける
・手術中に行う体位変換によって呼吸や循環が影響を受ける
・特殊な器械を色々と用いるために、手術費用が開腹よりも高くなる傾向がある
負担の少ない避妊・去勢手術〜腹腔鏡手術とは?〜
・腹腔鏡を使用した避妊手術(腹腔鏡下卵巣子宮摘出術)について
腹腔鏡手術のうち、最も多く実施されるのが避妊手術です。
犬猫ともに1.5kg以上であれば十分適応となりますが体重20kgを超える大型犬では開腹手術よりも圧倒的に傷が小さく体への負担が少なくなります。原則、日帰りの手術となっています。
・傷口の大きさと手術の痛み
20kg以下のイヌであれば基本的には5mm程度の傷口2つで避妊手術が行なえます。
「小型犬なら開腹手術の傷と腹腔鏡の傷を合わせたがあまり変わらない」と思うかもしれません。しかし、開腹手術の場合傷を小さくすることで、視野が狭くなり、トラブルが起こった際に対応できないことがあります。また卵巣を強く引っ張らないと体外に出せないので、より痛みが強くなります。腹腔鏡では、傷が小さいだけでなく、本来ある位置で安心して卵巣の処理が可能ですし、痛みがかなり軽減されます。
・当院における腹腔鏡下卵巣子宮摘出術の実際
提携病院である自由が丘動物医療センターの寺村靖史先生監修の「腹腔鏡の避妊手術について」を
是非ダウンロードして参考にしてください。
この動画には手術中の画像が含まれますのでご注意ください。
腹腔鏡を使用した場合の避妊・去勢手術費用は?
腹腔鏡手術を行うには、多くの特殊な機器・経験・知識が必要です。このため、腹腔鏡下の手術は一般の開腹手術よりプラス2万円位のご負担となります。5kg以下の小型~中型犬であれば総額9万円程度となります。大型犬の場合は、当院までご連絡ください。
動物にとって心身共に負担の少ない術式です。
腹腔鏡手術の適応疾患
卵巣子宮摘出術(避妊手術)/卵巣摘出術(避妊手術)/膀胱結石摘出術/停留精巣摘出術/胃固定術(胃捻転の予防手術)/腹腔内臓器の各種、組織生検
指導医紹介
Ve.C.動物病院グループ
総院長 / 獣医師 https://www.vec-j.com
朴 永泰
経歴
2008年 北里大学卒業
2008年−2011年 大阪の動物病院 勤務医
2011年-2014年 エール動物病院 副院長
2015年-2018年 代官山動物病院院長
2016年-現在 Ve.C.動物病院グループ総院長
研究歴
2009年-2016年 北里大学小動物第2外科学研究室 研究員
2016年-2018年 北里大学大学院獣医学系研究科小動物第2外科学研究室 研究生
2018年 学位論文「イヌにおける腹腔鏡下手術が生体に与える影響」で博士(獣医学)を取得
資格
獣医学博士
ESVPS公認小動物外科学認定医取得
指導医より一言
わずか20~30年の間に、人の医療ではお腹の手術のほとんどが腹腔鏡手術で行われるようになりました。傷が小さく、手術後の体の回復が早いと言われ、瞬く間に外科手術の主流となりました。全てが人と同様ではありませんが、動物でも小さな傷で体に優しい手術ができる時代となりました。もちろん、患者様の安心、安全な手術を第一に心がけております。動物に対する様々な手術で適応となりますので、お気軽にご相談ください。